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監修:国立がん研究センター中央病院 泌尿器・後腹膜腫瘍科 医長 中村 英二郎 先生

VHL病の遺伝学的検査

遺伝

VHL病は、親から子どもへと遺伝する病気です。遺伝学的検査はVHL病の診断に必須ではありませんが、未実施の場合、ご家族(血縁者)への影響を調べるためには、診断がついた後に遺伝学的検査を受ける必要があります。

フォン・ヒッペル・リンドウ病における実態調査・診療体制構築とQOL向上のための総合的研究班 編, フォン・ヒッペル・リンドウ病診療の手引き(2024年版), P63-68, 2024

遺伝学的検査の対象となる方

  • VHL病の診断基準を満たしており、かつ、ご家族に対する影響を調べる必要がある場合
  • 診断基準を満たさないが、VHL病が疑われる場合
    • 中枢神経系血管芽腫
    • 網膜血管腫(40歳未満)
    • 淡明細胞型腎細胞がん(35歳未満)
    • 非機能性膵神経内分泌腫瘍(15歳未満)など
  • 家系内にVHL病の診断基準を満たす方がいて、その方がVHL病の遺伝子変異を有していることがわかっている場合

など

 血液検査を示すイラスト

フォン・ヒッペル・リンドウ病における実態調査・診療体制構築とQOL向上のための総合的研究班 編, フォン・ヒッペル・リンドウ病診療の手引き(2024年版), P63-68, 2024

遺伝カウンセリング

遺伝学的検査を実施する場合には、必要に応じて適切な時期に遺伝カウンセリングを行います。遺伝カウンセリングでは、患者さんとご家族が治療に関連する意思決定を行ううえで必要な遺伝学的な情報と関連する情報を提供します。患者さんとご家族のニーズを理解したうえで、心理的な不安を取り除いて、自己決定ができるように支援することが目的です。
就職、結婚や妊娠、出産など、それぞれのライフステージで遺伝カウンセリングが必要となる場面もあります。

フォン・ヒッペル・リンドウ病における実態調査・診療体制構築とQOL向上のための総合的研究班 編, フォン・ヒッペル・リンドウ病診療の手引き(2024年版), P63-68, 2024

家族(血縁者)への支援

患者さん本人のほかに、ご家族にも遺伝カウンセリングを行うことが望ましいとされています。遺伝のリスクがあるご家族に対しては、遺伝学的検査の状況によって以下のように対応します。

  • 遺伝学的検査で病的な遺伝子変異があることが確認できている患者さんとご家族
    • VHL病のサーベイランスを実施します。
      《サーベイランスとは》
      遺伝子検査などにより、がんの発症リスクが高いと推定された方に対して、がんの早期発見を目的とした定期検査を実施して観察していくことをサーベイランスといいます。
  • 遺伝学的検査を行っていないご家族
    • 遺伝子変異のある可能性が50%あるため、VHL病のサーベイランスを実施します。
  • 遺伝学的検査で病的な遺伝子変異がないことが確認できているご家族
    • VHL病のサーベイランスは不要です。ただし、一般に勧められるがん検診が不要になるわけではありません。

フォン・ヒッペル・リンドウ病における実態調査・診療体制構築とQOL向上のための総合的研究班 編, フォン・ヒッペル・リンドウ病診療の手引き(2024年版), P63-68, 2024

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